探偵ができる事、できない事
探偵業は、法律や倫理の枠内で行動することが求められ、出来ることと出来ないことが明確に区別されています。以下にそれぞれを説明させて頂けたらと思います。
探偵が出来ること
1. 調査活動
探偵は、依頼者の要望に基づいて合法的な範囲で情報収集を行います。具体的な例としては以下のような活動が挙げられます。
• 浮気調査
配偶者やパートナーの不貞行為を確認するため、尾行や張り込みを行い、写真や映像を収集します。
• 人探し
行方不明者や失踪者、疎遠になった家族や友人の所在を特定します。
• 素行調査
対象者の日常生活や行動を把握し、依頼者が知りたい情報を提供します。
• 企業調査
ビジネスの相手先の信頼性や従業員の不正行為の有無を調べます。
2. 情報提供
調査の結果として得た情報を依頼者に提供します。この情報は、依頼者が裁判や交渉の際に使用できる重要な資料となることがあります。
3. 合法的な尾行や張り込み
探偵は、対象者に気づかれないように尾行や張り込みを行います。ただし、これらの行動は法律に基づいて行われ、プライバシーを侵害しないよう注意が必要です。
4. 防犯対策のアドバイス
防犯カメラの設置やセキュリティ向上のためのアドバイスを行うこともあります。特にストーカー被害や嫌がらせのケースでは、探偵の知識が役立つことがあります。
5. 法的手続きのサポート
探偵が収集した証拠は、裁判や調停で利用できることがあります。弁護士と連携して調査を行い、依頼者の権利を守るための証拠を提供することも可能です。
探偵が出来ないこと
1. 違法な手段による調査
探偵は、いかなる理由であっても法律に違反する行為をしてはなりません。具体的には以下のような行為が禁止されています。
• 盗聴や盗撮
無断で他人の私生活を録音・録画することは、プライバシーの侵害として法律で厳しく規制されています。
• 住居侵入
調査のために対象者の住居や敷地に無断で立ち入ることは違法です。
• 偽装や詐欺行為
調査のために偽名を使ったり、嘘の情報を用いて対象者や第三者を欺くことも禁止されています。
2. 強制力を伴う行為
探偵には警察のような公的な強制力がありません。例えば、対象者に直接事情を聞いたり、拘束したりする権限は一切ありません。
3. 公的な情報への不正アクセス
個人情報保護法などにより、探偵が住民票や戸籍情報、銀行口座情報などの公的な情報に不正アクセスすることは禁止されています。これらの情報は正規の手続きを通じて取得しなければなりません。
4. 犯罪行為の支援
探偵が依頼者のために犯罪行為に加担することは厳しく禁じられています。例えば、不倫相手を脅したり、復讐のために証拠を捏造したりすることは許されません。
5. 調査対象者の権利侵害
調査を行う際、対象者の基本的人権やプライバシーを侵害してはなりません。過剰な尾行や監視などは名誉毀損やプライバシー侵害として訴えられる可能性があります。
探偵業の法的規制
探偵業を営むためには、「探偵業の業務の適正化に関する法律」(探偵業法)に基づき、公安委員会への届出が必要です。この法律には以下のような規定があります。
1. 依頼内容の確認
探偵は、依頼者から受けた調査内容が違法でないか確認する義務があります。違法な目的に利用される恐れがある場合は、依頼を断らなければなりません。
2. 個人情報の保護
調査によって得られた情報を第三者に漏洩しないよう厳重に管理する義務があります。
3. 調査手段の適正化
探偵は、社会的に許容される範囲で調査を行う必要があります。不適切な手段を用いた場合、業務停止や罰則の対象となることがあります。
依頼者が知っておくべきこと
依頼者は探偵に調査を依頼する際、以下の点を理解しておく必要があります。
1. 探偵の調査には限界がある
法律や倫理に反する調査は行えないため、得られる情報には制限があります。
2. 調査結果が必ずしも依頼者の期待に応えるとは限らない
浮気の証拠が見つからなかったり、対象者の所在が特定できなかったりする場合もあります。
3. 費用と時間の負担
調査には相応の費用がかかり、結果が出るまでに時間が必要な場合があります。探偵事務所と契約する際は、費用や期間について十分に確認することが重要です。
探偵業は、依頼者にとって重要な役割を果たす一方で、厳しい規制や倫理が求められる仕事です。依頼者も、探偵が出来ることと出来ないことを理解し、適切な目的のために利用することが求められます。